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vertigo.shin

お昼の欲望

お昼になって久々にインド食堂のカレーがなんとなく、どうしても食べたくて店から外に出てみるが、歩きながら思いとどまって家に向かう。なんで思いとどまったからって、レコード買いすぎてお金がないからだけど。



家でご飯作って食べよう。奥さんもちょうどマッサージ終わった頃だし。



帰ってみると奥さんはチヂミを作って食べ始めたところだった。



「もうちょっと待ってくれたらよかったのに」。勝手なことを僕がいうと、もっと早く言ってくれないと、と言われる。そりゃそうだ。



パスタを茹でて、塩漬けした豚肉を炒めて一人分には多すぎるくらいのカルボナーラを作って食べる。お昼はこういう簡単な食事が一番だなぁと頷きながら。



それにしても。と食べ終わってから思う。



あんなにインド食堂だった我が欲望はもうすでに別のもので満たされ、どこかに消えてしまいなくなってしまっている。全く儚いものだ。とにかくそれが満たされて仕舞えば元あった欲望なんてどうでも良くなってしまう。セックスにもそういうとこがある。



こんなことなら、いつだって何かを我慢してこうしていればお金など使わずに済むだろう。でもそれはそれで全く面白い人生とは思えないし、なんだか難しいものだ。





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